「光の指で触れよ」 池澤 夏樹
小説。新聞で連載されていたようですね。土の匂いに導かれて離ればなれの家族が行きつく場所は―。
幸福なあの一家になにが起きたのか。意図せぬ変化を余儀なくされた家族の崩落と再生、現代に生きる困難と、その果てにきざす光を描く長編小説。
大好きな池澤氏の作品。「タイトル忘れたけど池澤夏樹の新刊が出てたよ!」と聞いたので早速検索。これかー、と思い図書館で予約。出たばっかりなのに予約件数ゼロ。え、人気ないの?素敵なのに。
それはさておきこの本。「すばらしい新世界」の続編であります。あれから数年。森介には妹が出来たものの、全寮制の学校に入って遠くで暮らしている。林太郎とアユミは、とあることをきっかけに別のところで暮らし始めた。ばらばらになった家族、というところから物語は始まります。続編として読むとしっくりこないかも、と聞いていたけれど、あたしには、この流れ、わかる気がした。妙に共感するというか、考えさせられる作品でした。というわけで、もったいないと思いつつ一気読み。森介、いい男の子になったね。こういう男の子、好きです。新しく家族の一員となったキノコ(可南子)の存在もまた、いい。その他、美緒のお姉さんも、一瞬登場するだけなのに、ものすごく鮮烈な印象。そんな感じでちらりと登場する人物たちも、ものすごく説得力がある。それぞれがそれぞれに素敵です。
前作は林太郎の主観に重きを置かれた物語であったのに対し、この作品は林太郎、アユミ、森介、それぞれの主観が交互に描かれます。そのときどきで、それぞれの立場や思い、考え方に共感する。
で。中でもやっぱりアユミの考えに揺さぶられることが多い。○○さんの奥さん、△△ちゃんのおかあさん。役割の固定。あたしはまだ、誰かのおかあさんではないけれど、自分の個性がやがて埋没していくような恐れにも似た気持ちは、ある。家族を形成することは楽しいし、それを不満には思ってはいないけれど。
それから、物質的なこと、経済システムから下りることを目指す気持ち。これも何となくわかる。わかるというか、それを本気で考えているかどうかは別として、憧れるのです、最近。なんとなくの目標に据えているというか。上手くいえないな。上手くいえないけれど、迷いも含め今のあたしの精神にリンクする部分が多くて、考えさせられることが多かった。
ああ、ものすごく主観的。ま、いっか。
自分にとって大切なこととは何か、見直すきっかけになるかもしれない物語。
是非。
ためてる他の本のレビューを差しおいて先に投稿。
あたし的に、得るものが多かったのです。
あたし的に、得るものが多かったのです。
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